
診療室で高齢の方によくお伝えしていることがあります。運動は年齢を重ねるほど必要になりますが、若い頃と同じ方法で行うと、かえって体の負担になることがあります。韓医学では、適切な動きが気血の流れを助け、心の緊張をほぐして体のバランスを保つのに役立つと考えます。ただし高齢期には、視野、聴力、バランス感覚、体温調節能力も変化するため、「どれだけ多く行うか」より「どのように安全に行うか」が重要です。
運動場所は安全が第一です
年齢を重ねると、小さな段差、滑りやすい床、突然の騒音にも体が素早く反応しにくくなります。そのため、人が多すぎず、床が平らで、照明が十分な場所を選ぶとよいでしょう。屋外で運動する際は、履きやすい靴を履き、手に荷物を多く持たない方が転倒予防に役立ちます。
急にかがむ、立ち上がる動作はゆっくりと
運動中に頭を急に下げたり、腰を急に曲げて伸ばしたりすると、一時的にめまいを感じることがあります。特に血圧の薬を服用中の方や、普段から起立時のめまいがある方は、姿勢の切り替えをよりゆっくり行う必要があります。ストレッチも反動をつけるより、呼吸を整えながらやさしく続ける方法が適しています。
天候と空腹の状態を確認します
雨や雪の日、風が強く気温変化が大きい日には、体が外部環境に適応するためにより多くのエネルギーを使います。道が滑りやすいと、関節のけがや転倒の危険も高まります。このような日は、無理に外出するより、室内で軽い関節運動や呼吸運動に替えるとよいでしょう。
お腹が空きすぎた状態で運動することも避ける必要があります。元気が落ちた状態で動くと、冷や汗、めまい、手の震えが現れることがあります。食後すぐに激しい運動をするより、ある程度消化されてから、軽く歩く程度から始めることをおすすめします。
慢性疾患がある場合は運動前に体調を確認します
高血圧、糖尿病、心疾患、関節疾患のように継続して管理が必要な病気がある場合は、運動の種類と強度を別に決めることが安全です。運動を理由に、服用中の薬を自己判断で中止したり減らしたりしないでください。運動後に痛みや疲労が長く残る場合は、強度が合っていないサインかもしれません。
- 運動の前後に5〜10分ほど、体をゆっくりほぐす
- 息切れして会話が難しい強度は避ける
- めまいや胸の圧迫感があれば、すぐに中止して休む
- 新しい運動は短時間から始め、少しずつ増やす
- 杖、サポーターなど補助具が必要な場合は積極的に使う
このような場合は相談をおすすめします
- 運動中に繰り返しめまいがする、または倒れそうな感じがあるとき
- 胸の痛み、強い呼吸困難、冷や汗を伴うとき
- 片側の手足に力が入らない、またはろれつが回らないとき
- 運動後の関節痛や腫れが数日以上続くとき
特に麻痺、意識低下、強い胸痛、突然の言語障害が現れた場合は、運動を中止し、まず119や救急外来を利用する必要があります。高齢期の運動の目標は記録を作ることではなく、今日の体を見ながら長く続けることにあります。自分の体力や疾患、季節に合わせて無理なく動けば、運動はよい養生法になり得ます。
