
診療室で「検査では問題ないと言われたのに、いつも胃が重苦しいです」というお話をよく伺います。食後のもたれが長く続く、ガスでお腹が張る、みぞおちが重い感じを繰り返す場合は、単に消化剤を探すだけでなく、胃腸がどのように動いているのかを確認する必要があります。韓医学では、このような慢性的な胃腸の不調を痰積の観点からもみていきます。
痰積とは何を意味するのでしょうか
痰積とは、食べ物がうまく下りずに停滞することで胃腸機能が鈍くなり、その結果、胃の中が重く硬く感じられる状態を指す言葉です。内視鏡や基本的な検査で明らかな炎症・潰瘍が見られなくても、胃腸の運動性や消化力が低下して症状が続くことがあります。そのため、痰積は一つの病名として決めつけるより、機能性消化不良、胃の働きの低下、生活習慣をあわせて確認する診療が重要です。
消化不良だけが現れるわけではありません
痰積が疑われる方は、もたれ、腹部膨満、頻繁なげっぷ、みぞおちのつかえ感を主に訴えます。長く続くと食事量が減り、疲労感、めまい、頭痛のような全身症状を伴うこともあります。もちろん、これらの症状は他の疾患でも現れることがあるため、期間、悪化要因、便の状態、体重変化などを落ち着いて確認する必要があります。
治療は胃腸を動かす方向で
私はまず、体質、食事の速さ、夜食の有無、ストレスと睡眠の状態、腹部の緊張度をあわせて確認します。韓方薬は、胃腸に残る停滞感を減らし、消化機能の回復を助ける方向で組み立て、鍼・お灸・カッピング(吸い玉)・温熱療法は、腹部の巡りと胃腸の動きを助けるために選択します。すでに服用中の胃腸薬がある場合は自己判断で中止せず、現在の状態に合わせて併用の可否を相談することが安全です。
生活管理が治療の土台です
- 食事は急いで食べず、1回の食事で食べ過ぎないようにします。
- 脂っこい食べ物、刺激の強い調味料、深夜の夜食は、症状との関連をみながら減らします。
- 食後すぐに横にならず、軽いウォーキングのような負担の少ない動きを取り入れます。
- コーヒーとお酒は、胸やけ・もたれが強い日は避けるほうがよいでしょう。
- 睡眠不足と緊張は胃腸の動きを低下させることがあるため、一定の生活リズムを保ちます。
このような場合は診療をおすすめします
消化不良が2週以上繰り返す、または徐々に強くなる場合、体重減少・飲み込みにくさ・貧血所見・黒い便・吐血がある場合は、診療を受けてみることをおすすめします。特に、強い腹痛に冷や汗や意識低下を伴う場合、または吐血が明らかな場合は、まず119または救急外来の案内が優先です。
慢性的な胃腸の不調は、1日の1回の食事の問題ではなく、胃腸が疲れてきた時間の積み重ねの結果である場合が多くあります。症状を抑えるだけで終わらず、なぜ繰り返し停滞するのか、体全体の流れをみると管理の方向が明確になります。繰り返すもたれを長く我慢せず、ご自身の胃腸の状態を確認してみてください。
