
診療室でご高齢の方々にお会いしていると、長く生きることより、どのように健康に過ごすかのほうが大きな関心事だというお話をよく耳にします。韓医学の養生は、病気が起きてからだけ扱う治療ではなく、毎日の生活を整えて体の消耗を減らし、回復力を補う知恵に近いものです。若い頃から身につけるのが望ましいですが、高齢期に始めても生活の質を変えるうえで意味があります。
老化は精血と気力が減っていく過程
韓医学では、年齢を重ねるほど、体を潤し養う精血と、生命活動を支える気力が少しずつ弱くなると考えます。目が乾くのに笑うと涙が出る、耳鳴りがする、口が渇く、眠っているときによだれがたまるといった変化も、この流れの中で理解します。ただし、すべての変化が年齢のせいとは限らないため、急にひどくなったり生活に支障が出たりする場合は、診療で原因を確認する過程が必要です。
心と生活リズムを整える
高齢期の健康管理では、心の緊張が思った以上に大きな割合を占めます。心配が長引くと眠りが浅くなり、消化が乱れ、小さな痛みもより強く感じられることがあります。私は、できるだけ一定の時間に寝起きし、日光を浴び、1日に一度は呼吸が楽になる活動を決めておくことをおすすめしています。過労もよくありませんが、動きが極端に減ることも筋肉と気血の巡りを弱めることがあります。
あっさりした温かい食事の力
年齢を重ねると、胃腸の動きや消化力が以前のようではなくなり、脂っこいものや刺激の強い食べ物が長く負担として残ることが多くあります。やわらかく消化しやすい食べ物を基本にし、冷たすぎるものや塩辛いものは控えめにするとよいでしょう。食事量は一度にたくさん食べるより、胃が楽な量を規則的に召し上がることが役立ちます。
- ご飯と汁物、加熱した野菜、あっさりしたたんぱく質を中心に構成します。
- 食後すぐに横になるより、軽く動いて胃のつかえ感を減らします。
- 口の渇きが強くても、水を一度にたくさん飲むより、分けて飲みます。
- 室内は寒すぎず暑すぎないようにし、湿度と清潔さも併せて確認します。
このようなときは診療を受けてみてください
養生は自分で実践する生活管理ですが、薬物療法や補薬は体質、病歴、服用中の薬を併せて見る必要があります。血圧の薬、糖尿病の薬、抗凝固薬などは自己判断で中止せず、医療スタッフと相談して調整する必要があります。気力が落ちたという感覚だけで処方を決めるより、消化力、睡眠、大小便、脈と腹部の状態を併せて見ることが安全です。
- 理由なく体重が減ったり、食事が続けて難しいとき
- めまい、転倒、強い不眠が繰り返されるとき
- 口の渇き・耳鳴り・よだれなどが急にひどくなるとき
- 片側の麻痺、ろれつが回らない、意識低下がある場合は、119または救急外来を先に利用します。
高齢期の養生は、特別な1日よりも、普段の繰り返しから力を得ます。心をおおらかに保ち、季節に合わせて生活し、あっさりした食事と適度な動きをこつこつ続けることが基本です。体のサインが変わるときは、一人で我慢するより、診療を通じて今の状態に合った管理の方向を探してみることをおすすめします。
