
診療室では、年齢を重ねて以前とは違うというお話をよく伺います。髪が白くなり、目や耳が衰え、消化が遅くなり、記憶力が低下する変化は、誰にでも訪れることがあります。韓医学では、こうした変化を単に年月の問題としてだけ見ず、陰陽のバランスと気血の流れ、五臓六腑の機能が少しずつ弱まる過程として捉えます。
老化はバランスが乱れていく過程です
体は、気力が過度に消耗したり、血液と津液が不足したりすると、回復力が低下します。消化機能が弱くなって栄養を十分に作れなかったり、過労とストレスが長く続いたりしても、体の土台は疲れやすくなります。生まれ持った体力も影響しますが、後天的な生活管理が老年期のコンディションを大きく左右します。
『東医宝鑑』の七つの補養習慣
古くからの医書でも、年齢の重ね方を上手に管理する方法を、生活の中の節制と調和に見いだしていました。特別な方法より、毎日繰り返す習慣を整えることに重点があります。
- 話しすぎたり、気力を消耗することを減らします。
- 性生活は体の状態と体力に合わせ、無理をしないようにします。
- 脂っこく刺激の強い食べ物は控え、あっさり食べます。
- 口の中を乾かさず、唾液をゆっくり飲み込んで口腔と消化をいたわります。
- 怒りを長く抱えず、肝の緊張をゆるめます。
- 消化のよい温かい食べ物で胃腸の気をいたわります。
- 心配事や考えごとが夜まで続かないよう、心を休ませます。
胃腸が弱いと、気力も低下しやすくなります
韓医学では、胃腸は食べ物から気血を作る大切な土台です。食欲が落ち、胃もたれが多いと、十分に食べても体が満たされないように感じることがあります。私は高齢期の養生をお話しするときも、まず食事量、便の状態、睡眠、疲労の現れ方を併せて確認します。
このようなときは相談をおすすめします
- 休んでも疲労が回復せず、1か月以上続くとき
- 食欲低下、体重減少、消化不良がはっきりしているとき
- めまい、不眠、動悸が繰り返されるとき
- 記憶力の低下が日常生活に影響しているとき
- 服用中の薬がある場合は、自己判断で中止せず併せて確認するとき
突然の片側の麻痺、ろれつが回らない、意識低下、強い胸痛や激しい頭痛が起きた場合は、まず119または救急外来の助けを受ける必要があります。普段の老化管理と緊急時の対応は区別しなければなりません。
健康に年を重ねるということは、時間を逆戻りさせることではなく、体が持つ力を無駄にせず、よくいたわることです。言葉と食事、感情と睡眠を少しずつ整える習慣が気血の流れを穏やかにし、1日の回復力を守るしっかりした土台になります。
