
診療室でご高齢の方を連れて来られたご家族に、私がよくお願いすることがあります。普段は元気に過ごしているとおっしゃっていても、食事の席や散歩道で見える変化が、健康の大切なサインになることがあります。久しぶりに会ったご両親に小言のように聞こえないよう、温かい質問で体と心を一緒に見ていただければと思います。
食欲と消化は高齢期の健康の基本です
年齢を重ねると、胃腸の動きが鈍くなり、唾液の分泌や噛む力も以前とは同じでないことがあります。そのため、最近食事は規則的に取れているか、食欲が落ちていないか、食後の膨満感や便秘・下痢がないか確認してみる必要があります。
漢方医学では、飲食有節といい、適切な量を決まった時間に食べる習慣を大切に考えます。祝日の料理は脂っこく、量も多くなりやすいため、食べ過ぎた後すぐ横にならないこと、食後に軽く歩くことから一緒に実践してみてください。
歩く姿に関節と筋力の変化が見えます
膝、股関節、腰に痛みがあると活動量が減り、活動量が減ると筋肉と靭帯がさらに弱くなる流れが生じることがあります。一緒に近くを歩きながら、歩幅が小さくなっていないか、片側に傾いて歩いていないか、最近転んだことはないか、自然に見てみてください。
養生では調和動静、つまり無理をしすぎず、休みすぎもしないバランスを重視します。ただし凍った道、雪の日、非常に寒い早朝には、転倒と心血管への負担を考え、運動は休むほうが安全です。
記憶力と気分の変化も健康のサインです
最近、仕事のことをよく忘れたり、約束を繰り返し尋ねたりしていないか、慣れた道で迷ったことがないかを確認すると、認知機能の変化に気づく手がかりになります。物の名前がなかなか思い出せない場合や、性格が急に敏感になった場合は、抑うつ感や睡眠の問題もあわせて確認する必要があります。
韓医学の恬淡虚無は、心を穏やかで静かに保つ生活態度と通じています。自然に親しみ、無理のない趣味を続け、一定の睡眠リズムを整えることは、高齢期の健康管理に役立ちます。
このような場合は相談をおすすめします
- 食事量が目に見えて減ったり、体重減少が続くとき
- 消化不良、腹痛、便秘や下痢を繰り返すとき
- 転倒が多くなったり、関節痛のため外出をためらうとき
- 最近、記憶力の低下、性格の変化、不眠や抑うつ感がはっきりしているとき
- 突然の麻痺、ろれつが回らない、意識低下、強い胸痛がある場合は、ためらわずにまず119または救急外来を利用してください
ご高齢の方の健康を見守ることは、大がかりな検査ではなく、毎日の食事、歩き方、表情から始まります。服用中の薬がある場合は自己判断で中止せず、不調が繰り返されるときは診療を通じて、現在の体の状態や体質、生活習慣を一緒に点検してみることをおすすめします。
