
診療室で疲労を訴える方にお会いすると、私がまずお尋ねすることがあります。どのくらい眠っているか、食事はどうか、感情的に消耗している状態ではないか、痛みや消化不良を伴っているか、という点です。疲労は単に元気がない症状のように見えますが、体の回復リズムが乱れているサインである場合があります。
休んでも取れない疲労は、原因から見ます
1日、2日無理をした後に感じる疲労は、十分な睡眠と食事で回復することが多くあります。しかし疲労が長く続き、不眠、気分の落ち込み、筋肉痛、集中力低下を伴う場合は、生活上の疲れだけとは考えにくいです。甲状腺疾患、貧血、肝機能異常、睡眠障害、感染後の回復遅延なども確認が必要です。
カフェインで乗り切る習慣の限界
コーヒーやエナジードリンクは一時的に覚醒感をもたらすことがありますが、体の回復力を補う方法ではありません。遅い時間のカフェインは睡眠の質を下げ、翌日の疲労をより強く感じさせることがあります。私はまず、睡眠時間、食事の間隔、飲酒と夜食、運動量をあわせて調整するようおすすめしています。
供辰丹は誰にでも同じ補薬ではありません
供辰丹は『東医宝鑑』に記録された処方で、麝香・鹿茸・山茱萸・当帰などを蜂蜜で練って丸剤にした補薬です。韓医学では、虚弱になった気血を補い、体のバランスを助ける処方として扱われてきました。ただし、疲労があるからといって全員に同じ処方が合うわけではなく、熱が多い状態か、消化力が弱いか、ストレスによる緊張が強いかによってアプローチは異なります。
特に麝香が入った処方は、薬材の品質と用量、流通経路が重要です。自己判断で購入して服用するより、現在服用中の薬、血圧・糖尿病・心血管疾患の有無、妊娠の可能性などを医療スタッフに伝える必要があります。服用中の薬を自己判断で中止し、補薬に置き換えることは避けてください。
このような場合は相談をおすすめします
- 疲労が2週以上続き、日常の仕事がつらいとき
- 眠ってもすっきりせず、頭痛、筋肉痛、消化不良が繰り返されるとき
- 風邪をひきやすい、口内炎、食欲低下を伴うとき
- 不安、気分の落ち込み、燃え尽き感が強く、回復が遅いとき
- 補薬の服用前に、基礎疾患や服用中の薬との関係が心配なとき
突然の胸痛、呼吸困難、片側の手足の麻痺、意識低下のような症状を伴う場合は、補薬の相談より119や救急外来の利用が先です。原因不明の体重減少、続く発熱、ひどい寝汗も受診をおすすめします。
慢性疲労に向き合ううえで重要なのは、「何を食べるとよいか」よりも「なぜ回復しないのか」を見つけることです。体の状態を確認したうえで、必要な処方と生活管理を一緒に立てることで、疲労に耐える生活から、回復を作っていく生活へ少しずつ変えていくことができます。
